Scarsdale
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ホロコースト・メモリアル・ミュージアムを訪問してホロコーストを否定する人たち OCS, Jan.1, 1994

USホロコースト・ミュジアム先目ワシントンDCのホロコースト・メモリアルニ・ミュージアムを訪れた。このミュージアムは1933年から1945年の間にナチスによって迫害、殺戮された犠牲者を追悼し.その事実を伝えることで人種偏見がもたらす悲惨さを考えさせることを目的にアメリ力政府と民間団体が共同で設立し、昨年4月にオープンしたものだ。


展示物や写真,ラジオ、テレビ,ドキュメンタリー映画などで年を追ってユダヤ人への迫害が酷くなっていった当時のヨーロッパを辿りながら,私はあらためてその残酷さに身のすくむものを感じた。しかし、帰りに買って読んだ「ホロコーストを否定する人たち」(デポラ・リァプスタッド著)という1冊の本はそれにもまして偏見について考えないでばいられないものだった。

この本によれぱ,「ホロコースト」はユダヤ入の作り話だと主張する人がここ10年程の間に増え続けているのだという。彼らによれば,ヒットラーにはユダヤ人を殺す気はなかったこと,実際にキャンプで死んだのほ、2、30万の人たちだけでそれも病死だったこと、「ホロコースト」はイステエルを建国するためにユダヤ人が作りあげたでたらめなのだそうだ。こうした説に対する日本の支持者たちは、その主題を「国際ユだヤ勢力による日本制覇の脅威」として「ホロコースト」はユダヤの陰謀とする本を次々に出しているという。ここ5.6年日本であらわればじめたそうした作家たちの本は私も気になるので読んで、それについて新聞に投稿したりしてきたが、(反ユダヤ本の氾濫文芸春秋社「マルコポーロ」の廃刊に思う)日本語で書かれる彼らの本を私が杷憂するのは、こちらでは心ある人には決して相手にされないこうした類の反ユダヤの出版物が日本では堂々と他民族を誹謗する材科に使われているからである。

昨年ニューヨークに住む一部の日本女性について書かれた「イエローキヤブ」という本のことがOCS紙上で話題になったごとがあった。日本語で書かれる反ユダヤ関係の本ば、例えばその「イエローキャプ」のような本が、非日本人によって英語で書かれ、日本人のいない所で発行され続けるようなものではなかろうか。日本を 全く知らない人がこうした虚偽に満ちた本に繰返し出会うとしたら日本女性に対するする誤った先入観を抱くのは避けられないだろう。

「ホロコースト」の生存者やミュージアムが訴えようとしていること、これからも訴え続けていかなけれぱならないとしているのは,ユダヤ人のなめた苦しみだけでばなく,人種偏見の恐ろしさである。それば唯一の被爆国である日本が原爆の悲惨さを世界に訴え続ける義務があるのと同じようなものだ。過去のあやまちから何も学ぱず,それを否定さえするのは偏見の犠牲となった何百万という死者を冒とくするだけでなく,罪の上塗りりをするようなものだと私ば思う。

「ホロコーストを否定する人たち」の存在は、西洋になお根深いユダヤ人への偏見をあらわしていて深く考えさせられるが、こうした一部の人たちの意見を利用し,日本にいて対岸の火事でも見物するような気楽さで他民族を誹謗し続ける無神経な作家たちにばそれ以上に怒りを惑じないではいられない。

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