ニューヨークの最新教育事情を語る(海外子女教育振興財団講演会) 月刊「海外子女教育」 1997年1月号
 

海外子女教育振興財団でば十一月十三日.東京・国立教育会館において長年ニューヨークでボランティア活動等を通して海外子女教育に深くかかわり、日米住民の対話・交流活動を企画推進してきたキャッツ邦子氏による「新ニューヨーク教育事情」と題した講演会を開催した。会場にば、海外子女教育関係者や企業の担当者、これから海外に子どもを連れて赴任する予定の母親など約一四〇名が参加、熱心に聞き入ったあと、質疑応答では和やかな雰囲気の中、さまざまな意見や質固が飛び交い、参加者の関心の高きをうかがわせた。

現在ニューヨーク周辺には、約五千人に日本人の児童生徒が学んでおり、現地校、インターナショ ナルスクール,日本人学校,私立在外教育施設などに通っている。日本人駐在員の多くは治安,環境の優れた一部の地域に集中しているため,これらの地域の現地校でば,日本人子女の割合が相当高くなっている。

また,たくさんの学習塾が進出しており,教育問題はた,多様化、複雑化している。こうした中でキャッツ邦子氏は、目本人の子どもたちのより良い教育環境づくりを支援するために設立されたニューヨーク 日本人教育審議会教育文化交流センターのプログラムのボランティアコーディネーターを努めている。

氏は,問題点として.現地按で日本人は固まる傾向があり,しかも目が日本へむいている。子どもたちば現地校の勉強に加えて、塾や補習授業校における日本の勉強に追われている。英語は現地枝に通えぱ何とかまるというのは神話にすぎないので,子どもたちの背中から「日本」という重荷を降ろしてあげて,親子で現地に積極的にかかわることが大切と強調した。

また州の教育システムが日本と違いボランティアの運営(住民代表の)で決定されることが多い。日本人が好む環境のいい地域は、ボランティア活動も盛んなので、日本人の親も参加が必要と語った。

日本人の親たちも、最初は英語の苦手意識から学校や地域のボランティアに尻込みしがちだが、ひとたび引き受けると非常に勤勉で高い評価を受けること多いという。会場では、そういう母親たちのボランティアグループが教育文化交流センターととものつくった「ニューヨーク周辺地域の日本人子女教育の現状」と題する冊子も紹介され、配られた。

これから海外へ駐在員を送り出す企業に対しては。現地校が九月に始まる事を考慮して転勤の時期を考えて欲しいこと、また母親にも英語の勉強など、渡航前の準備を整えるような配慮をして欲しいことを要望した。

会場からは「学校をどう選べばいいのか」「宿題は?」といった具体的な質問が相次ぎ、氏に促されて実際にニューヨークでボランティアとして活動してきた母親が答える場面もあり。現地でのPTAの一員としての活躍ぶりがうかがえた。また「どうしたら得以後が通用するまでに出来るようになるのか」という切実な質問も飛び出し、会場は和やかな笑いに包まれたが、キャッツ氏は、熱意があれば必ず通じると強調していた。「現地校に参加する意志が大切」ということばに参加者はみなうなずいていた。

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キャッツさんに社会貢献賞 海外子女教育に尽力 読売1996年12月13日

財団法人日本顕彰会が、各分野で社会的貢献が認められた人物に対して贈る平成八年度社会貢献者表彰者授賞式が,常陸宮殿下、常陸宮妃殿下のご臨席でこのほど東京都内のホテルで行われ、百三十六人が受賞した。海外からは、ニューヨーク在住のキャッツ・邦子さん=写真が学校や地域での幅広いボランティア活動や日米住民の対話、交流を企画推進し、日米相互の理解と親善に貢献したとして受賞した。

キャッツさんは現在、ニューヨーク日本人教育審議会の教育文化交流センターで,プログラム・ディレクターとして働いており、ニューヨーク地区の日本人教育についてこれまでさまざまな実践活動を推進してきている。

今回の社会貢献者を表彰では海難などにおける人命救助や社会福祉,地域社会,国際社会、運輸交通、青少年の育成、スポーツ、文化などにおいて多年にわたり広く社会に顕著な功績を残した人百三十六人が受賞したが,海外からはキャッツさんひとりが選ばれた。

世界各地に在住する日本人の 長期滞在者数は、四十六万人を越え、海外で生部小・中学生も、総数で四万七千九百四十人(外務省調べ)に達し、北米で学ぶ小中学生は減少傾向にあるとはいえ、総数の三十七%、一万八千五百九十七人、中でもニューヨーク周辺だけでも約五千人に及ぶ。ニューヨーク地区は、全日制日本人学校、補習授業校、私立在外教育施設のほか学習塾も存在し、海外で日本人の子供の教育を考える上で、典型的かつ多様な問題が凝縮されている地区として認識されている。

このような状況の中で、文化交流センターが,地域住民への対日理解や新しくニューヨーク生活を始める日本人家族に適切な情報を提供する機会を与える役目を果たしてきている。キャッツさんは、「思いがけない受賞で驚いた。ボランティア活動の場さえ提供すれば、多くの人が活動を続け、地域に根付いた活動が育つと言うことが分かった。地道に活動している多くの人がいることを知ってもらう機会となったことがうれしい」と話していた。

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NY在住児童,驚きと戸惑いと 日本経済新聞、1996年12月11日(日)

 

北米に一万八千、ニューヨーク周辺でも五千人に達する邦人小中学生。所変われば学校変わるといわれるものの、現地校に通う生徒や親はどんな違いに直面しているのか。PTAや地域活動は?いじめは?ボランティア活動を通じてニューヨークの邦人教育事情に詳しい、ニューヨーク日本人教育審議会教育文化交流センターのコーディネーター、キャッツ・邦子さんに聞いた。 (間き手は村樫裕理子)

 

現地校で邦人生徒が戸惑うことは。

「教科書がなく州の指針に沿って先性が独自に授業を組み立てる。時間割もないので、いつ休憩していいのかわからない。初めはトイレに行けない子も出るほど。あるテーマについて図書館で調べたり、実地調査に出かけたりしてリボー
トにまとめて発表する、新聞記事についてディスカッションしながら意見をまとめるなどとにかく自分で考え、説明させる授業をするのにまず驚く子が多い」

「かって現地の小学校に務めていたが、通訳してあげるから日本語でいいたいことを話してと言ってもさあ一と困った顔をする子が多かった。英語がしやぺれないからおとなしいのではな<、自分の意見をまとめることに慣れていない。」

そうした授業だと、成績を評価ずる方法も違うのでは。

「渡米して半年なのに通知表はエクセレント(優)ばかり。米国の学校って簡単だという親がいたが、これは間違い。こちらは絶対評価が基本。他と比ぺてどうかということは関係ない。日本人の親は常にだれかと比ぺることを念頭においており、よく子供がクラスで何番くらいかと知りたがる」と苦笑する先生もいる。

PTAなど親の学校へのかかわりはどうなっているのか。

「役員が決まらなくて困ることはまずない。仕事で忙しい人は休日にできる役を引きうけるなど、我も我もという感じで学校とかかわろうとずる。図書館の手伝いや放課後のスボーツクラブの世話、先生の研究事業を手伝うこともある」

「学校側も親や地域の人に対して開放的。とういうのも文部省的な機関がないため学校は地域の住民が集まった教育委員会によって運営され、予算は住民の払う固定資産税が主になっている。住民は金も出すが口も出し、学校行事には市民の意見が反映される仕組みができている。いずれ帰国する外国人の子供のための特別クラスに予算をどれだけ割くかはいつも議論の的になる。」

日本人は外国人の中でも独特と聞く。

「邦人の占める比率かがかなり高い所も多く邦人生徒の対処について教師会が定期的に勉強会を開いているところもある。日本人同士が固まる、授業についていけない子供が増えている、塾通いなどで疲れている子が多いなどが問題の焦点だった。

いじめはあるのか。

米国人との間にはあまり聞かない。問題なのは日本人同士。新しくやってきた子供が古株の子供を日本のことを知らないらないといじめる。英語をしゃぺれる子供がしゃぺれない子供から仲間外れになる。外国人の友だちと遊ぷと日本人にいじめられるからと付き合いを加減ている子どもいる。」

「が日本人同士のいじめを教師が知らないことも多い。日本人グループ内で日本語で悪口をいうなど巧妙に行われるし、言葉の問題もあるせいか牛徒も親も教師に相談しないたことが多いためだ。

いじめが発覚したらどう対処ずるのか。

「親、教師、スクールサイコロジスト、そして校長がスクラムを組んで対処する。校長は子供の心をケアする役割が大きく、生徒の名前や特徴などを覚えていていじめっこや被害になりやすい子には普段から注意して声をかけるようにしている。子供に悩みがある場合は家庭にも問題があることが多いだけに親との連絡も密にしているようだ。

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