新聞に紹介されたJACOの活動

〈日本語版)

出前しませんか?日本文化

(朝日新聞、1999年、12月18日)

お茶、生け花、和服に習字…。日本の文化を米国人に教えるとなると、つい肩ひじ張って構えてしまう。しかし、日本人駐在員が多く住むニューヨーク州郊外で、「文化の紹介を、アメリカ社会に自分が溶け込むための道具にしてしまおう」というプロジェクトがはじまった。最近事務所を構えた主催者は、「英語も講義もへたで構わない。日本人仲間だけに閉じこもっていては、せっかくの駐在期間がもったいない」と参加を募っている。 (ニューヨーク=近藤康太郎)

米社会に溶け込む道具に.....
 

NYの非営利団体が呼びかけ

非営利団体、「ジャパン・アメリカ・コミュニティ・アウトリーチ (JACO) が講習会JAPAN ON WHEELS(日本の出前サービス)を開きはじめたのは、今年はじめから。地元新聞や銀行などに告知を出し、十人前後の米国人を前に、日本人駐在員の主婦らが、折り紙や習字など、少しでも心得のあるものを教える。すでに10回以上の講習会が開かれた。

「『今ごろ、まだ折り紙が日本の文化かよ」なんて声もあります。講師だって家庭の主婦がほとんどだから、本格的な講習は期待できない。でも、文化紹介はあくまでも手段。駐在員家庭に米国の地域社会に溶け込んでもらうことが目的なんです」とキャッツ邦子さんは、話す。米国人と結婚し、米国に永住する。今はJACOの事務局長を努めている。

10年ほど前、日本人の子弟が大量にニューヨーク州郊外の米国コミュニティへ流入したことがある。日本ではバブル最盛期で、企業が大量の駐在員を米国に派遣したからだ。大半の子どもが3年から5年のサイクルで一方的にお世話になって帰り、「招かざる客」とも言われた。 「こちらの学校は、英語ができない日本人の子も、特別な授業を取らせ、本当によく面倒をみてくれる。現地の米国人の一部に「われわれの税金で、なぜ日本人を特別に教えるんだ」といった反発も あった」とキャッツさんは言う。 学校教育などで米国社会から受けた恩義を、駐在員家庭も何からの形で返せないか。永住者のキャッツさんたちのあとおしで駐在員の家族が老人ホームや学校へ出張講義する。一方で、駐在員家族も地域社会に溶け込む。一石二鳥の構造に米国人のライラ・バーガーさん以下、有志の理事7人が集まった。準備に2年半をかけ、今年はじめ、非営利団体を発足させた。 活動資金は、理事のうち一人が一万ドルを寄付したおかげで、しばらくはやっていける。最近、ニューヨーク州郊外のホワイトプレーンズにオフィスも構えた。

「出前サービス」では、駐在家庭の主婦が主役だ。たこあげでも紙芝居でも特別の準備をせず、米国人の前で「講釈」する。 「英語がしゃべれるようになるまで、人前ではしゃべらないなんて言っていたら、一生、できるようにはなりませんよ。ニコニコしていれば、好意は通じます。相手もこちらのことを知りたがっているんだから。」キャッツさんたちはそう言って主婦らの背中を押す。 「本当は、企業からの寄付でやっていきたい。会社も、企業戦士を米国に送り出すだけでなく、駐在家庭を地域に 溶け込ませる意味と効用を理解してほしい」と話している。講師として参加を希望する人は、JACO(電話914-949- 4057)で受け付けている。

 

「紹介通じた交流が目的」  地域活動の講習会も人気  

読売アメリカ、2000年新年号:三浦良一記者


日本人の保護者たちの地域交流活動 を支援しようと昨年秋にニューヨーク州で設立された非営利団体が、ジャパン・アメリカ・コミュニティ・アウトリーチ(略称・JACO)だ。事務局長のキャッツ邦子さんは、コネティカット州グリニッチの日本人学校に併設されている教育文化交流センターで、長年保護者たちの地域ボランティア活動を世話した経験を持つ。12月14日、ウエストチェスター郡イーストチェスターの公立図書館で第一回目のワークショップが開かれ、日本人のお母さんたち約30人が参加した。キャッツさんは、「住み慣れない土地に赴任し、いかに地域社会に 入っていくかを手助けし、そして米国人に日本を理解してもらう活動を通して、自分たちもまたアメリカ文化を知る、というのが活動の目的」と説明する。そして、地域活動したいが、どうしたらよいか分からない人たちにどのように「リーチアウト」するかが課題だという。

講師に招かれたのは、27年にわたり、日米で児童文化活動を続けている宮腰悦子さん。宮腰さんは、1978年に夫(前米国川崎重工社長)の転勤にともない、3人の子供とともにテキサス州ヒューストンに来たことが、米国で日本文化の紹介や、日本人学校で学ぶ子供たちの日本文化・情操教育活動を始めるきっかけとなった。以来、通算20年以上にわたる駐在生活の中で、児童絵本作家、かこ・さとしさんの全面的な協力も受けながら、エツコ・ワールドと言う会社を設立し、活動を続けている。

若いお母さんによるすばなし、「エバミナンダスの話」や、紙芝居の実演が披露された。話し方や感情移入も子供の気持ちを引き込むような語り口で、とても素人とは思えない迫真の演技。また、宮腰さんのパネルシアター「マトリューシカ人形ちゃん」も紙芝居とはまた違ったテンポと技が生かされ、子供に受ける理由がよくわかる。

「アメリカに来て痛切に感じたことは、『やる気』というものを額面通りに受け止めてくれるんだ、ということ。子供のために500枚の絵に色を塗る、そんなどうでもいいことに力を注いでやったことを、きちんと評価してくれる人たちがここはいることを知って、「もう、一生やってしまおうと言う気持ちになった」と笑顔で話す。 「日本では、考え方が違うと『変ね』となるが、アメリカでは『違う』というところからスタートすることも活動を前に進めやすかった理由」とも。そして、一人で心ぼそくなったときには、「あれっ、君ってそんなのできなかったっけ?」という夫の言葉に奮起し、人から活動事業の責任者を頼まれて迷っていると、「君って、そーやって人に頼まれたことを断わるんだ」という夫の言葉の矢を背中にうけながらも前に進んだ歴史も紹介、夫の励ましと協力も不可欠と示唆。   「女の特色は、年をとればとるほどよく、話しますし、定年もありません。夫の定年後は夫に絵の色を塗るのを手伝ってもらって、温泉近くの小学校で活動するなんていうのもまんざら悪い老後じゃありませんよ。みなさん」と話すと会場がドット沸く。「ボランティアは、日本で言う奉仕とはまた違ったもので人から言われてやるものではない。自分で何をどうやれるかを考え、自分の身の丈にあった量でちょっとだけ実力より上のことをやるのが大切。時間の長短は関係なく、何をやっても値うちは一緒」などと宮腰さんは会場の参加者を励ました。

英語がダメでも大丈夫
ニコニコ部隊を募集中

また、キャッツさんは、現在JACOがボランティアを募集していることを説明し、「私たちの活動は、日本文化の紹介ではなく、紹介を通じた交流が目的です。英語が話せなくとも 大丈夫。会場で笑顔で参加するだけでもいいです。私たちは英語で、「スマイリング・ブリゲード(ニコニコ部隊)と呼んでいます。何かやってみようと言う人はぜひ」と参加を呼びかけている

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