Scarsdale
Image

アメリカのボランティア活動
                                
U.S.PUBLICATIONS, VOL.8掲載記事より

住民の寄付で運営されているスカースデール救急組織
アメリカのボランティ活動を云々する場合、まず考えなければならないのはこの国の建国のなりたちでしょう。アメリカではその長い歴史には今から考えれば信じられないほどの様々な人種差別政策もとられてきましたが、基本的には言語、出身国、宗教などを異にする人たちがお互いに助け合って厳しい環境と闘い、自らの共同体を作り上げてきた国です。共同体では人々は必要に応じて自ら学校や病院、教会などの公的機関を設立しその運営にあたって来ました。現在ではもちろんその機能はいろいろな面で建国当初とは違ったものになっていますが、それでも一般的には自分たちの住んでいる所は自分たちでよくしようとする考えはこうした歴史を背景として今もアメリカ人の中に息づいていて、ボランティア活動はいまだに多くの人々にとって生活の不可欠な要素となっています。ではどんな所にそういったことが見られるかるスカースデール・ビレッめジを例にあげてアメリカの一地方自治体のありかたとボランティア活動の関係をみてみましょう。(写真は住民の寄付でなっている救急車派遣組織の建物、2009年に新築された)

スカースデールの行政のありかたがまず日本と大きく違う点は、(これはアメリカの大きな町と比べても言えることですが)それを決定する理事会がメイヤーを含めて全てボランティアの人材からなっていることでしょう。(男女ともに専門は弁護士である人たちが多いようです。)彼らは選挙で選ばれ、任期の間住民代表として無給でこの仕事にあたるのです。1ヶ月に2度の理事会で行政の重要案件を協議、決定し、その実際的な運営を村役場職員の長としてメイヤーが任命した行政のプロである専任のビレッジ・マネージャーに任せます。教育行政の中心である教育委員会も同じ方法で住民選挙で選ばれた人たちが無給でその任にあたります。

アメリカの教育行政は仕組みの上では連邦政府の教育庁の下に州教育庁があり、その下に各学校区と言うふうになっていますが、連邦教育庁には日本の文部省のような機能はなく、州教育庁もガイドラインを制定するだけなので実際の行政権は各学校区にあり教育委員会は強い権限を持っています。つまり学校区も自治体と同様、住民から選出されたボランティアの人材が教育方針、法規などの行政の重要案件を決定しており、運営をプロの教育長に任せるのです。
 
スカースデールにはこの二つの行政組織の他代表的なボランティア組織としてタウン&ビレッジ市民の会、自治連合会、女性有権者の会、PTA,ボーイスカウト、ガールスカウト、成人学校、救急車出動隊,Scarsdale Edgemont Family Counseling Service(住民の精神的ニーズに応えて作られた組織)などその数は60以上にのぼっています。病院や教会、シナゴーグなど私的機関が主導している活動をあげればその数は限りないくらいで、ほとんどの住民が何らかの形で地域に関わっているといっても過言ではありません。つまり、アメリカの地域ボランティアというのは日本で考えられているように、お金や暇のある人達が片手間でやっているのでもなければ、一部の人たちが人助けのために気負ってやっているというような性質のものではなく、男女、老若を問わず各自が自らの能力や時間に応じて出来る範囲でコミュニティに関与しているというものです。住民の貢献度が高い所ほどコミュニティの質がよくなるのは当然な訳で、住民はそうしたことを誇りにし、同時に活動に熱心な組織や人材も高く評価します。日本人駐在員家族が環境がよく学校区の水準が高いなどの理由で住まいを定める所はほとんどがそのように地域活動に熱心な住民によって作られている自治体です。地域のありようを理解するのは、そういった意味でも非常に大切です。

新しくボランティア活動をはじめるにあたって:

子供たちがナーサリースクールや学校に通っている場合、担任の先生や、子供の友達の母親に学校でやれることがあるかどうか、相談されるとよいでしょう。地域には例えば、病院、MEALS ON WHEELS(お年寄りに食事を運ぶ仕事など)団体,教会、図書館などが常時ボランティアを募集しています。スカースデールに新しい方の場合は、村役場へいけば、This is Scarsdale(女性有権者の会が発行しています)などの小冊子を含むインフォメーションが渡されますので、一読した上で、適当な所があれば、電話で当たってみるか、近所の人に相談すると言う方法もあるかと思います。

地域になじむ一番の早道はコミュニティ活動への積極的な参加です。地方新聞(例えばScarsdale-Inquirerなど)に常に目を通しておくと、地域ボランティアの様子がよく把握できるようになります。新聞にはまた近所の人たちや子供たちのニュースが載っていることもあり、記事を通して身近な話題を共有することもできます。言葉に自信がなく地域ボランティアへの参加を躊躇しておられる方々には自分たちに身近な日本文化紹介の活動を通して親しんでいくという方法もあります。(文化紹介活動)    


私自身の経験とスカースデールの最高のおみやげはボランティアの神髄とする日本人主婦のボランティア体験を地方新聞で地区住民に紹介しました。(
Best Scarsdale souvenir)


TOP   Home





Image
Image
image